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卒業研究

~記憶の側面からの一考察~

The influence on reading comprehension depending on vertical writing or lateral writing –from the perspective of memory-

言語聴覚士学科

一花衣里 池長未来 北村未彩 検校剛 金銅誠人 村田龍也

要約

文字表記方法には縦書きと横書きがある。読みの違いは文字を見分ける視野の違いによるとの報告がある(屋名池,2003)が、読みに与える要因を記憶の観点から検討した報告はない。文字表記方法の差による記憶について検討することは、言語聴覚療法における文字表記法の適切性を考えた上で有用になると考え、調査を行った。
対象は、20歳代の専門学校生を対象とし、文字の縦書きと横書きの違いによる記憶の成績を比較した。あわせて,同対象者に縦書きと横書きに関するアンケートも実施した。
結果、文字表記方法による記憶の成績に差はなかった。読みと記憶に関わる脳との関係の点から、文字表記方法による記憶力の成績に差がなかった理由を推察し、さらに、言語聴覚療法における文字表記方法を選択する際の留意点について考察した。

目的

教材や新聞、小説などには、縦書きと横書きの文字表記方法が用いられている。先行文献によると、縦書きもしくは横書きによる読みの差は慣れによる影響が大きく、両者に有意な差はないとしているが、読んだ後の記憶の保持に関しての差は不明である。そこで、縦書きと横書きで文字を読んだあとの記憶保持力に差があるか否かについて調べ、さらに言語聴覚療法の課題遂行における文字表記方法の有用性の差を考察した。

方法

20歳から25歳の専門学校学生56名を対象として、事前調査として対象者に縦書きと横書きの「かな拾いテスト」(今村、2000)を実施した。本テストは主に注意力を測定する検査である。そこで、注意力による影響を除外するために、縦書きと横書きにより注意力に差がないことを確認するために事前調査を実施した。その結果、縦書きあるいは横書きにおいて、注意力の差はほとんどなかった。また、本調査の対象者に対して、黙読の慣れに関してのアンケートを実施した。その結果、日常でよく目にする文字表記方法は、横書きであるという結果を得た。本調査として、事前研究と条件を統制した対象者72名に対して「かな拾いテスト」を応用した記憶力のテスト(変更かなひろいテスト)を実施した。手続きについて、文章の黙読後に記憶している内容語を書き出させ、記憶していた内容語数で記憶力を測定した。本調査は集団実施のため、黙読・書字による解答とした。

結果

変更かなひろいテストの成績を縦書き群と横書き群に分けて分析した結果、両群に有意差はなかった。

考察

縦書きと横書きの文字表記方法の違いによる記憶の成績に有意差がなかった理由について、脳と読みの観点より考察した。大脳は新皮質、旧皮質である大脳辺縁系、神経核に分けることができる。黙読時には主に新皮質が、記憶には主に旧皮質が関わる点から、黙読時の脳活動部位が記憶に関わる脳活動部位に中心的に含まれていない可能性があり,文字表記方法による記憶力に差が出なかった可能性が示された。さらに、今回対象とした若年層では横書きになじみが強いアンケート結果があったことから、文字表記方法によって記憶などの認知機能に差がでる可能性が少ないのであれば、対象者のなじみを考慮した文字表記方法の選択が、言語聴覚療法においても有用と考えた。

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