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卒業研究

~ランダム化比較試験(RCT)での検討~

Changing Heart Rate by Stimulating the Cuán Zhú Acupuncture Point (Supraorbital Foramen) ― A Randomized Controlled Trial ―

東洋医療技術教員養成学科

播貞華

要約

攅竹穴刺激(眼窩上孔刺鍼)による心拍数の変化について、木下滋氏が1975年に報告している。但し、木下氏は質的データ解析法を用いているが、量的な観点の解析は明らかではない。そこで、本試験は攅竹穴刺鍼による心拍数の量的な変化を再検討し、今後の臨床的意義を考察した。鍼刺激群と無刺激群の2群のランダム化比較試験を行った結果、効果量はd=1.05、効果量のr=0.46、P=0.0016であり、鍼刺激は有効であった。

目的

木下滋氏は1975年に報告している攅竹穴刺激(眼窩上孔刺激)による心拍数の変化について、質的データ解析法を用いているが、量的な観点の解析は明らかではない。そこで、本試験を追試し、今後の臨床的意義を検討することを研究目的とした。

方法

先行試験として、大阪医療技術学園専門学校の東洋医療技術教員養成学科の学生15名(男性:8名 女性:7名)を対象に攅竹穴刺激による心拍数の量的な変化の実験を行った。その結果、鍼刺激群8名の平均値は6.38(SD=9.24)。無刺激群7名の平均値は0.00(SD=0.00)。群間の効果量はd=0.98となった。
先行試験の結果から、少数のサンプルで効果の強さを求めることができることが明らかになった。そこで、大阪医療技術学園専門学校の鍼灸師学科昼間部、鍼灸健康美容学科、東洋医療技術教員養成学科の学生43名(男性:20名 女性:23名)を対象に本試験を実施した。 試験方法は、安静仰臥位で心拍数を測定し、ランダム割付した試験群(鍼刺激群)には攅竹穴(眉毛の内端陥凹部)への刺鍼、得気後に抜鍼し心拍数の測定を行った。刺激に用いた鍼灸針はセイリン社製の1寸1番鍼(長さ30mm、太さ0.16mm)とした。次に無処置のコントロール群(無刺激群)には、刺鍼と同時間後に、再び心拍数の測定を行った。その結果から木下氏の解析以外に量的データに対する検定および効果量を『Vassarstats(http://vassarstats.net/)』、『GraphPad software(http://graphpad.com/quickcalcs/ttest1/)』、『Effect Size (ES)(http://www.uccs.edu/~faculty/lbecker/es.htm#1. Standardized difference between two)』を用いて算出した。

結果

本試験の結果、2つの臨床的意義が確認されたが、今後の課題も残った。鍼刺激群22名の平均値は4.64(SD=3.98)、無刺激群21名の平均値は1.29(SD=2.15)となった。群間の効果量はd=1.05、効果量のr=0.46、群間有意差P=0.0016という大きな効果と相関で鍼刺激群が無刺激群より有意差があるという結果となった。

考察

  • Cohen(1988)が提案した効果量の主な指標とその大きさの目安には、d=0.20以上で効果小、d=0.50以上で効果中、d=0.80以上で効果大という記載がある。本試験結果はd=1.05で、効果は大きい、つまり実質的な差は大きいといえ、これは木下氏の研究結果を支持する結果となった。
  • アシュネル反射は、閉眼した状態で、眼球に圧迫刺激をくわえることにより、三叉神経、延髄、迷走神経を介して心拍数が低下する反射のことである。眼窩上孔は、三叉神経第一枝(眼神経)の終枝である眼窩上神経外側枝の前頭部への出口である。ゆえにこの部位への鍼刺激は、アシュネル反射と同様のメカニズムで副交感神経緊張が起こり、心拍抑制効果があると考える。
  • 刺鍼による心拍数の減少効果が顕著であり、頻脈の治療に臨床応用が期待できるが、今回の対象被験者は健常者であるため、その効果の持続性など実際の臨床試験にて検証する必要がある。

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