卒業研究

~携帯電話等を用いた一例~

An Example of Speech and Language Therapy Employing Cellular Phones to Improve Practical Communication Skills

言語聴覚士学科

赤松真実

要約

携帯電話等を用いた実用コミュニケーション能力に改善を目指した言語聴覚療法の一例である。症例は多彩な錯語が出現し、理解力も不安定であった。Schuellの刺激法を基本とした機能訓練を行い、理解の安定を図り、表出に繋げることを目指した。メール訓練は音韻操作能力を向上し,コミュニケーションツール獲得のために実施した。訓練の結果、単語レベルで理解や表出に改善傾向を認めた。また,仮名の処理が安定したことは、機能訓練とメール訓練を統合した結果と推察した。今後メール訓練を実用コミュニケーション訓練(PACE)に積極的に導入し、日常の文レベルの理解、表出に繋げ、他者とのコミュニケーション手段を拡大する可能性について考察した。

目的

本症例は失語症にて意思伝達に困難をきたしていた。理解面について、聴理解、読解ともに簡単な文レベルまでの理解が比較的可能であり、文法処理などの統語理解障害が推測された。聴覚的把持力の低下や注意力が関連する同時処理能力の低下も見られた。表出面は、なめらかで流暢な発話であったが、単語レベルから新造語、無関連性錯語、形式性錯語、音韻性錯語、記号素性錯語などさまざまな言い間違いが頻発し、語頭音ヒントは無効であった。これらの意味や語彙、音韻の言い間違いから、言語の情報処理過程における、意味システムや音声出力辞書、音素レベルの障害が推測された。
このような言語の情報処理過程における問題箇所に焦点をあて、コミュニケーションの円滑化を図る訓練を行い、その有効性について検討した。

方法

機能訓練として音韻や意味の刺激を与える言語多側面訓練などを実施した。活動訓練として、携帯電話メールを用いたいメール作成訓練(メール訓練)を行った。

結果

理解面については、聴理解、読解ともに単語、簡単な文レベルは改善、強化された。しかし,複雑な文レベルになると、同時処理能力や把持力、統語理解障害、注意障害は残存していた。
表出面については、発話は新造語、無関連性、形式性、記号素性錯語が減少した。これより、単語レベルにおいては、意味システム、音声出力辞書、音素レベルが徐々に改善してきていると考えた。仮名1文字や仮名単語については、理解や書取に改善がみられ、音韻操作能力の改善を認めた。しかし、自発的に音韻を想起することは困難であった。

考察

Schuell(1964)は「失語症はすでに獲得された言語符号の回収の障害である」と言い、また「脳の活動を賦活し、複雑な自象を発生させることができる唯一の方法は、感覚刺激を与えることである」と示した。そのことから言語の意味や音韻など機能や活動など多面的な側面から刺激を与えることにより、言語の情報処理過程が賦活されると考え、訓練を実施した。
結果、特に音韻処理が関連する仮名文字の理解や操作が向上した。音韻処理過程が安定した背景を携帯電話の文字入力の観点から推察した。さらに、今後単語レベルのみではなく、文レベルの理解や表出などの日常コミュニケーションにおける実用性につなげるために、メール訓練を実用コミュニケーション訓練(PACE)に積極的に導入し、他者とのコミュニケーション手段を拡大する可能性についても考察した。

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