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卒業研究

~1穴刺鍼による局所刺激と遠隔刺激の比較~

The Effectiveness of Acupuncture on Eyesight ― Comparing Local Stimulation and Remote Stimulation using Single-Point Acupuncture Treatment ―

鍼灸美容学科

藤田眞衣 米澤美沙子

要約

近年、近視者の数は年々増加している。その原因として電子機器の普及や長時間に渡るVDT作業などによる現代の我々の生活習慣がある。これまで視力回復に対する鍼治療の効果については複数の経穴を使用した治療が多く、1穴での鍼治療に関する検討は少ない。そこで今回我々は、局所治療として太陽穴、遠隔治療として合谷穴を選穴し、1穴での鍼治療の効果を比較することとした。1週間に1回の刺鍼を4週間行い、刺激前後に視力測定を行った結果、被験者によるばらつきはあるものの、合谷穴より太陽穴において視力向上に有用な影響があると考えられ、複数刺鍼だけでなく1穴刺鍼のみでも効果があると考えられた。

目的

現代社会は、まさに情報社会とされ、文字情報の増加、映像情報の普及などで人の周りには目を酷使することが非常に多くなってきている。特に身近な存在として日常生活の中に浸透してきているパソコンや携帯電話・スマートフォンなどの機器はここ十数年で目覚ましく普及してきた。このような機器を取り扱う人たちの中で、眼の屈折異常により引き起こされる近視の比率は高くなってきている。こうした現状の中、鍼灸治療にて視力回復効果が認められると、多数の報告がなされている。しかし、経穴を複数使った報告が多く、1穴のみでの報告は少ない。そこで私達は、視力回復に有効とされている多くの経穴の中から目の周囲の局所部位から1穴と目の周囲以外の遠隔部位から1穴を選択し、それぞれの鍼治療での視力向上効果を比較した。

方法

8名に局所治療の太陽穴、7名に遠隔治療の合谷穴を行った。はじめに電光投影式視力検査器による視力検査を行い次に太陽穴および合谷穴への15分置鍼を安静座位で行った。置鍼中は閉眼を指示せず自然瞬目とした。そして電光投影式視力検査器による視力検査を再度行い、比較検討した。なお、鍼治療中の患者に対しては鍼治療前と同様の日常生活を送るように指示した。

結果

合谷穴4名が実験を離脱したため、合谷穴3名、太陽穴8名で分析した。結果、11名のうち、実験開始前と終了後の比較で両眼ともに向上したのが3名、片眼のみ向上し、もう片眼は不変だったのが4名、ここまでを視力が向上したとし、向上率は63.6%であった。太陽穴と合谷穴で比較すると、太陽穴が両眼向上3名、片眼向上3名で向上率75%であったのに対し、合谷穴は片眼向上1名で向上率33%であった。刺激前後のみで比較すると、刺激前より刺激後に視力が向上したのが、全体で88回の測定中42回(47.7%)であった。太陽穴と合谷穴を比較すると、太陽穴が64回の測定中34回(53.1%)、合谷穴が24回の測定中8回(33.3%)であった。

考察

これらの結果より、遠隔刺激である合谷穴よりも、局所刺激である太陽穴の効果が高かったと考えられる。太陽穴の位置は、三叉神経支配領域であり、三叉神経刺激で縮瞳が起こることが報告されており、この縮瞳によってピンホール効果が得られ視力が向上した可能性が考えられる。合谷穴は血流速度と血管抵抗の有意な向上があるとも報告されているが、これは抜鍼10分後の測定値であり、今回は抜鍼直後に視力測定をしたため太陽穴ほど効果がでなかったのではないかと考える。

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