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卒業研究

A Case of Severe Wernicke’s Aphasia with Decreases in Alertness Level due to Left Brain Injury A Study on Jargon

言語聴覚士学科

宇田まどか

要約

左脳挫傷により覚醒レベルの低下を呈した重度ウェルニッケ失語の症例である。傾眠が多々みられ、指示理解も困難であり、標準化された検査を行う事は困難な状態であった。覚醒レベルの向上を図る為、顔の清拭、アイスマッサージ等を中心に様々なアプローチを行った。また、ジャルゴンへの抑制対応として、会話の工夫と興奮させないような対応を心掛けた。その結果、傾眠はやや減少し、発話面においても、ジャルゴンが徐々に減少するとともに、場に適した発話が増加した。覚醒へのアプローチ、会話の工夫、興奮させないような対応を心掛けたことで、ジャルゴンが減少し実在語の増加に繋がったのではないかと推察した。

目的

本症例は覚醒レベルの低下を認めジャルゴンが顕著であった。言語機能の基盤である覚醒レベルからアプローチを行い安定させることで、傾眠とジャルゴンの減少に繋げることを目的とした。

方法

70代、男性、右手利き。左脳挫傷にて、覚醒レベルの低下を呈した重度ウェルッケ失語症例に対し、覚醒レベルの向上を目的として、顔の清拭、アイスマッサージ、ボールのやりとり課題等を中心に様々なアプローチを行った。また、ジャルゴンへの抑制対応として、相手の反応をみながら言葉を変える、ジェスチャーや文字を用いるなど会話の工夫を行った。そして、興奮が生じないように出来る限り本人の意向に沿っての対応を心掛けた。

結果

介入当初に比べ訓練中の傾眠はやや減少した。発話面では、ジャルゴンがやや減少し、場に適した発話がみられるようになった。表情に関しては、時々笑顔がみられるようになった。しかし、行動観察場面では、車輪に何度も触れる、抑制帯を外す等の脱抑制の行動がみられた。

考察

本症例は、重度のウェルニッケ失語によりジャルゴンを呈したことで他者とのコミュニケーションが著しく障害されていた。ジャルゴンについて、Alajouanine(1956)は、未分化ジャルゴンから新造語ジャルゴンへ、そして意味性ジャルゴンの順に経過すると報告している。本症例においても、介入当初は未分化ジャルゴンと新造語ジャルゴンが混在し、場に適した発話はみられなかった。介入に伴い、未分化ジャルゴンはみられなくなり、新造語ジャルゴンと意味性ジャルゴンへの移行を示した。そして、最終評価時では、新造語ジャルゴン、意味性ジャルゴンが徐々に減少するとともに、場面に適した発話が増加した。本症例は、複数のジャルゴンが混在した経過を辿っており、Alajouanineの移行段階に概ね近いのではないかと考えられる。ジャルゴンの移行についてはいくつかの報告があるが、その経過をたどる要因やアプローチ方法は、まだ明確に指示されていない。一人一人に応じた適切な訓練を行い、ジャルゴンの減少に繋がる共通する訓練方法、有効な訓練方法は何なのか、その方法を究明されることを今後期待したい。

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