大阪医療技術学園専門学校 | 医療・福祉・心理の専門学校

卒業研究

~ランダム化比較試験(RCT)での検討~

Changes in Blood Pressure Due to Applying Pressure to the Renying (ST9) and Shaoze (SI1) Acupuncture Points -Consideration Using a Randomized Controlled Trial (RCT)-

東洋医療技術教員養成学科

田部真紀

要約

現在臨床では人迎穴は降圧作用、少沢穴は強心作用といった効果が期待できるが、それらを用いて血圧の変化についての研究は見当たらないため実験を行うことにした。方法はパイロット試験と本試験の2回行い、合計36名で実施した。手順は人迎穴群・少沢穴群・無処置群の3群をランダムに割り付け、無処置群以外10秒間指先で圧迫した後、血圧を測定し比較した結果、1、2回目ともに人迎穴圧迫と無処置の収縮期血圧は効果量がd=0.7、r=0.3を超え、最も効果量が大きく人迎穴は無処置に対して降圧作用がみられた。しかし少沢穴圧迫と無処置の拡張期血圧の差と人迎穴圧迫と少沢穴圧迫の収縮期血圧での効果量は1回目と2回目で結果が逆転した。これは少沢穴圧迫による血圧の強心作用は血圧の低下していない健常人特有の反応だと考えられる。

目的

人迎穴は血圧の降圧作用(この経穴の刺入を洞刺という)として有効であるという先行文献がある。少沢穴は指端にグロムスという血圧を調節する器官を利用し、血圧を上昇させる事ができる穴だという仮説があるが、これらの穴を同時に組み合わせて検討した鍼灸と血圧との変化に関する先行研究は見当たらない。そこで降圧作用が予想される人迎穴と、強心作用が期待できる少沢穴を利用し、どのように血圧に変化があるのかをランダム化比較試験にて検討してみた。

方法

人迎群、少沢群、無処置群の三群に封筒法でランダムに割り付けた。卓上型水銀血圧計を用いて座位で右腕の血圧を測定し、仰臥位で2分間安静にする。人迎穴(仰臥位)、少沢穴(座位、指で井穴を挟むように押す)ともに左右10秒ずつ指先で圧迫した後、再び同様に安静仰臥位2分後、血圧を測定した。なおパイロット試験と本試験の2回行い、1回目は試験人数12名で、人迎群、少沢群、無処置群のそれぞれ4名に分けて比較した。2回目は24名で人迎群、少沢群、無処置群を各群8名に分けた。1、2回目共に大阪医療技術学園専門学校の在校生、合計36名で実施した。

結果

効果量dと効果量の相関係数rがどちらも最も大きな反応は、1回目の人迎穴圧迫と無処置の収縮期血圧の差(d=0.7、r=0.3)を比較した結果であり1、2回目同様、効果量が大きいと言える結果となった。少沢穴圧迫と無処置の拡張期血圧の差(1回目d=0.7、r=0.3、2回目d=-0.4、r=-0.2)と人迎穴圧迫と少沢穴圧迫の収縮期血圧の差(1回目d=0.2、r=0.1、2回目d=-0.9、r=-0.4)は1、2回目で結果が逆転した。その他、人迎穴圧迫と少沢穴圧迫の拡張期血圧、人迎穴圧迫と無処置の拡張期血圧、少沢穴圧迫と無処置の拡張期血圧はdとrの数値から効果量の大きさに多少の違いはあるが、1、2回目も同じ反応傾向だった。

考察

試験デザイン上、対照群を無処置とすると比較的大きな効果を生む。人迎穴圧迫と無処置を比較した結果は1回目も2回目も大きな効果量0.7で収縮期血圧が降圧し予想していた通りの結果となった。少沢穴圧迫と無処置の比較はサンプル数を増やすと、1回目と2回目で全く逆方向の結果になった。これは対象が血圧低下していない健常人のため、少沢穴が必要に応じて血圧の変動をしたことにより、血圧の変化にばらつきが出たと考えられる。このような作用は薬物のように過度の影響(有害作用)を与えない鍼灸、指圧、マッサージなどの手技療法の良さだとも言える。

東洋医療技術教員養成学科ページを見る

 
 

各学科についてもっと詳しく知りたい方はこちら!

資料請求

オープンキャンパス

〒530-0044 大阪市北区東天満2-1-30
tel.06-6354-2501 fax.06-6358-7945

CONTACT

0120-78-2501

0120-78-2501

大阪医療技術学園専門学校

大阪医療技術学園専門学校© All rights reserved.

bot bot