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卒業研究

~認知症高齢者の中核症状に対して~

Functions of Aroma in Relation to Dementia -Effects on the Core Symptoms of Elderly People with Dementia-

薬業科

稲谷祐輝 熊谷沙帆子 冨永奈緒 丹羽みずき 松田和美 宮本夏

要約

自宅や施設で手軽に行えるアロマを用いた手法で認知症の中核症状に対して変化があるかを研究した。認知症高齢者の女性6名を対象にし、アロマオイルによるトリートメント、足湯等を二ヶ月行い、その前後に行う認知機能テストの内容にどのような変化が見られるかを確認した結果、残念ながら効果は認められなかった。しかし、アロマオイルによるトリートメントや足湯により血行がよくなったこと、学生とのコミュニケーション等によって感情の変化や記憶力の維持がみられた。これらのことから今後手法の変更や実施時間等によって結果が向上する可能性がある。

目的

認知症高齢者は2012年には462万人と推測され、2025年には約700万人に達する見込みである。このような状況に対して認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)などの取り組みが行われているが、一部の地域でしか機能しておらず、支援が追いついていないというのが実情である。そこで、認知症に対して良いとされるアロマアイルを用いて自宅や施設で手軽に行える手法で認知症を少しでも軽減することができれば、支援者の負担など認知症の諸問題に対して貢献できるのではないか、というのが今回の目的である。

方法

今回の研究にあたり、社会福祉法人青野ヶ原福祉会特別養護老人ホーム青都荘の職員様、入居者様にご協力いただき、6名の方を対象に介入実験を行った。研究期間を6月6日から7月7日の1ヶ月間を前期、その後2ヶ月間インターバルを設け、9月25日から11月17日までの約2ヶ月間を後期とし、後期では前期での反省、改善点を踏まえて行った。前期と後期それぞれの始めと終わりに確認テストを行い、後期テストに重点を置いてデータを纏める形とした。確認テストの内容は模倣テスト、後出しジャンケン、連起ゲーム、イラスト当ての4項目とした。平日の15時半から学生が施設へ訪問し、まず枕に夜用アロマオイルの香りを付け、次に、夜用アロマオイルを用いて足湯、ハンドトリートメントを行った。終了後、その日の結果や気づいた事などを纏めた。

結果

研究計画で指標とした点数ではA;6→2(低下)、B;0→0(判定不能)、C;3→0(低下)、D;17→中止(判定不能)、E;6→3(低下)、F;16→17(上昇)であり、判定不能;2、低下;3、上昇;1という結果であった。

考察

残念ながら結果としてアロマの効果はあったものといえるものではなかった。しかし、点数の低下の理由として1回目のテスト実施時に成績の良かった対象者の1名が大きな声で回答していたのを周囲の人が聞いたことにより正答数が伸びたということも考えられる。模倣テストができない者は、認知症程度が重度である可能性が高いとされていることから、4名の被験者は重度の認知症であった可能性があり、今回の研究では評価が難しい対象であった可能性がある。今回は、指標としなかったが、今後はコミュニケーションについても効果指標としていく可能性があることがわかった。なお、今回の研究では発現しなかったが、アロマオイルについては発赤、湿疹といった有害事象も知られていることから、アロマオイルの使用には十分な配慮が必要である。

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