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卒業研究

A Case of Amnesic Aphasia and Discourse Disorder due to Right Hemisphere Damage in an Ambidextrous Individual

言語聴覚士学科

小倉麻智

要約

両利き者の右側頭葉出血を呈した症例において各検査を行った結果、知的機能の低下、失名辞失語、談話障害等の高次脳機能障害を認めた。訓練では聴覚的刺激と音読を用いた連鎖ディブロッキング法により呼称の反応を促通した。結果、呼称の成績が向上し、言語機能の改善に繋がったが、談話障害は改善を認めなかった。談話障害は右半球損傷(Right Hemisphere Damage:RHD)によって生じ、言語機能よりも高次のレベルにあるため、改善が難しかったと考える。今後はRHDの談話障害を改善するための明確な訓練方法と標準的検査の確立が望まれる。

目的

本症例は70歳代、男性。エジンバラ利き手検査より両手利きと判断した。医学的診断名は右側頭葉出血、主訴は“ものが言えるようになりたい”である。自由会話において発話は流暢であるが一方的に話し続け、趣味の話になると多弁であり談話障害を認めた。初期評価では知的機能の低下、失名辞失語などの高次脳機能障害を認めた。自宅復帰に向けて失語症と談話障害に対する訓練を実施した。

方法

認知機能訓練として出雲リハ病院式ドリル(色あて、計算、問題解決など)、言語機能訓練として絵カードを用いた呼称課題、しりとり、談話障害に対する2コマ漫画の説明を実施した。

結果

標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia;SLTA)において、呼称では迂回表現や指示代名詞が減少し、正答率は50%から70%に向上した。また、まんがの説明では意味性錯語が減少し、言語機能の向上を認めた。談話機能は、一方的に話し続ける、漫画の説明で物語の関連がないなど改善がみられなかった。

考察

1.発話の改善について

呼称訓練にはディブロッキング法を実施した。ディブロッキング法とは良好なモダリティーを前刺激として入力し、目標とする言語機能のブロックを取り去る方法である。今回は単一ディブロッキングよりもより効果が高く持続するとされる連鎖ディブロッキングを用いた。呼称を行う前に聴覚的刺激と音読を用いて連鎖ディブロッキングを行うことで、呼称成績の改善につながったと考えられる。

2.RHDの談話障害について

RHDの患者の談話障害の特徴について、Myers(2007)はRHDの患者の会話にみられる最も一般的な障害として、話題を維持することができない、役割交代ができないなどを挙げており、本症例もこれに該当した。また竹内ら(1989)は、右半球損傷による談話障害は失語症とは異なり、意味、統語といった基底的な言語機能は保たれているが、それらの運用面でつまるとしている。つまり、談話機能は言語機能よりも高次のレベルにあると考えられるため、本症例において談話障害の改善が難しかったと考える。 現在RHDによる談話障害の重症度をどのように測定するかについてはほとんどわかっていないため、今後RHDの談話障害を改善するための明確な訓練方法と総合的検査の確立が望まれる。

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