卒業研究
ハンドソープの頻回詰め替え使用による 菌汚染について
Bacterial Contamination due to Use of Handsoap Refills in Plastic Containers - Repetitive Use of Handsoap Refills Cause Contamination -
薬業科
第新愛実 福田洸 宮崎月菜 森山まりん
要約
近年、環境保護の観点からハンドソープやシャンプー、洗剤、柔軟剤など多くの製品が詰め替え式となっている。プラスチック容器の再利用は勧めるべきであると思われるが、繰り返し詰め替えしている間に様々な要因により内容物が菌汚染される危険性はないのかという疑問が出てきた。そこで、本校の基礎医学実習室で頻回に渡り詰め替え使用を続けているハンドソープを用いて、石鹸液噴出口部分・容器上下接合部分・洗浄液内容物についての菌・真菌汚染状況を調べた結果、内容物自体の汚染が確認された。このことから頻回詰替え使用を行う際には容器を綺麗に洗浄することの必要性があることが明らかになった。
目的
環境保護の観点から多くの製品が詰め替え使用されるようになってきている。本校第4校舎6階の基礎医学実習室でも各実験フラッテの手指洗浄のハンドソープが長期間に渡り詰め替え使用されている。それらについての詰め替えを行おうとした際に本体容器内部壁面の変色が視認されたことから、容器或は内容物の菌・真菌汚染が進んでいることが懸念された。そこで当該ハンドソープの菌・真菌汚染状況を調べることにした。
方法
実験材料
キレイキレイ液体ハンドソープ 天然ローズマリーオイル配合(ライオン株式会社製)
実験器具
ヒツジ血液寒天培地(Lot715)、滅菌綿棒、恒温槽(島津製作所製STAC P-45M)、ガスバーナー
実験方法
実習室で使用し続けている4本のハンドソープ及び、新たに購入したハンドソープのそれぞれについて、石鹸液噴出口部分・容器上下接合部分・洗浄液内容物を滅菌綿棒を用いて拭き取り、或いは採取したものを血液寒天培地に塗布し、37℃の恒温槽で加温培養し、得られたコロニーを計数した。
結果
頻回詰め替えを行ったハンドソープのいずれについても、石鹸液内容物から菌類・真菌類が確認され、血液寒天培地の溶血が確認された。また、石鹸液噴出部から菌類が確認されたものもあった。比較対象とした新規購入品についてはいずれの部位からも菌類・真菌類の存在は確認されなかった。
考察
容器上下接合部分からの菌・真菌類の検出はなかったことから、室内の空中浮遊菌・真菌が詰替え時に混入したことも考えられる。また、1~2年に一度の詰め替え頻度の場合、使い切る前に新しい石鹸液を継ぎ足すのではなく、完全に空にした後に十分な水洗いを行い、完全に乾燥させてから新しい石鹸液を入れることが好ましいと考えられる。