卒業研究

Differences in acupuncture and moxibustion in treatment of coldness in lower extremities

鍼灸美容学科

千原沙紀 松田有咲 松田蘭

要約

冷え症とは、主観的な冷えの自覚を言い、生命の危険を脅かす可能性が低いことから、医学的には病気と判断されず、症候名としての認識に留まっている。また、冷え症に対する鍼灸の論文では、鍼だけ灸だけなど単体での論文はあるものの、両方の比較はみられなかった。そこで、今回は二つの差を比べる研究を行った。本実験では鍼群と灸群に分けて皮膚温の違いを比べることとした。結果は鍼群、灸群ともに刺激による皮膚温の上昇の傾向はみられたが、両群における差は無かった。しかしこの結果は鍼灸治療を継続することで冷え症改善の一助となり、継続的な鍼灸治療の重要性を認識させる可能性がある。

目的

冷え症とは自覚症状であり、また生命の危険を脅かす可能性が低い。そのため医学的には病気とは判断されず、症候名としての認識に留まっている。現代医学では、治療法は確立されてはいない。一方、東洋医学による効果の報告はみられる。冷え症に対する鍼灸の論文では、鍼だけ灸だけなど単体での論文はあるものの、両方の比較はみられなかった。そこで、今回は二つの差を比べる研究を行った。

方法

被験者は、本校学生の男性4名、女性11名の計15名平均年齢21.1歳とし、無作為で鍼と灸の2群に分けた。実験は1週間に1回、実験間隔は1週間以上、合計4回とした。室温27度に設定された部屋のベッドに仰臥位で5分間の安静ののち実験を開始した。刺激部位は左右の太衝、三陰交穴、足三里穴とし、鍼群は刺入から10分間置鍼し、灸群も点火から10分間置いた。両群ともに施術前、施術直後、直後から5分後の計3回、皮膚の温度を赤外線温度計で測定した。鍼はセイリン社製20号40mm、灸は釜屋もぐさ社製カマヤミニ弱を使用した。皮膚温の測定は刺激部位と同部位とした。

結果

両群ともに、施術前に比べると施術直後では多くの被験者で皮膚温の低下が見られ、刺激直後から5分後には両群共に多くの被験者で皮膚温の上昇が観察された。また、施術1回目と4回目の施術前の皮膚温が、両群とも上昇しており、鍼群と灸群の差はみられなかった。

考察

施術直後の皮膚温が下がって5分後に上がったのは、自律神経への影響が考えられる。まず鍼灸刺激直後は一時的に交感神経の働きが優位となり、末梢の血管が収縮することで皮膚温度が低下したと考えられる。その後、鍼刺激は軸索反射により、灸刺激は温熱効果により皮膚血流が増加し皮膚温が上昇したと考えられる。今回の実験では1人4回の実験で皮膚温の上昇がみられたので、継続的な施術を行うことで、安定した皮膚温の上昇が観察されるのではないかと考えられる。

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