大阪医療技術学園専門学校 | 医療・福祉・心理の専門学校

卒業研究

Verification Testing of Emotional Approach Coping Scale using Saliva Amylase as an Index

医療心理科

片山真美子 北山実月 佐藤江梨圭 出口里美 畑中ひかる 丸橋千乃

要約

本研究は、メンタルヘルスケアの一種であるコーピングに着目し、簡易的な情動焦点型コーピングの効果について唾液アミラーゼと一時的気分尺度を用いて実証した。「ストレッチ」は一時的気分尺度の緊張、混乱、抑うつ、怒り、活気に変化が見られ、気分や感情に働きかける情動焦点型コーピングとしての効果が期待できることが明らかになった。「閉眼・うつ伏せ」はコーピング後に唾液アミラーゼの数値が下がり、生理的な情動焦点型コーピングとしての効果が明らかになった。

目的

厚生労働省によると、ストレス状態の持続は、うつ病等の精神疾患、不眠や腹痛等の身体反応、脳卒中や糖尿病等の心身症といったメンタルヘルス不調のリスクが高まるとされていることから、予防としてストレスの緩和や軽減が重要である。ストレスに働きかけ、対処することをコーピングという。ラザルスらは、コーピングを情動焦点型と問題焦点型に大別した。問題焦点型はストレス原因に向き合うことが必要なことから心身の負担になる可能性があるため、唾液アミラーゼを指標に、短時間で簡易に実施できる情動焦点型コーピングの効果を実証することを目的とした。

方法

第1研究ストレスの有無、効果があるストレス対処法等について質問紙調査を行った。調査期間は2019年10月4日~10月31日で、分析対象は大阪医療技術学園専門学校学生379名であった。第2研究ストレス負荷後に厚生労働省が推奨する「ストレッチ」と、第1研究で効果があるストレス対処法として最も回答の多かった「寝る」を簡易にした「閉眼・うつ伏せ」の2種類の情動焦点型コーピングを行った。対照はコーピングを行わない「安静座位」とした。生理的指標唾液アミラーゼニプロ株式会社製唾液アミラーゼモニターにより測定と心理的指標一時的気分尺度:以下TMS)により効果を検証した。調査期間は2019年11月5日~11月12日で、分析対象は医療心理科学生44名であった。

結果

第1研究の結果、ストレスがあると回答したのは91%であった。また、72%が「寝る」を効果があるストレス対処法と回答した。第2研究の結果、ストレッチ、閉眼・うつ伏せ、安静座位の唾液アミラーゼとTMSに有意差はなかった。ストレス負荷後とコーピング後の推移では、唾液アミラーゼにおいて、ストレッチはストレス負荷後に減少し、コーピング後に増加した。閉眼・うつ伏せはコーピング後に減少した。安静座位は増加傾向を示した。TMSにおいて、ストレッチは緊張、混乱、抑うつ、怒り、活気の5項目が減少、閉眼・うつ伏せは緊張、疲労、怒りが減少、安静座位は抑うつのみが減少した。

考察

ストレッチは、唾液アミラーゼが減少せず、TMSは5項目の数値が減少したことから、気分や感情に働きかけ心理的なストレスを軽減させる効果があると考えられた。閉眼・うつ伏せは、TMSの変化が少なく唾液アミラーゼが減少したことから、身体反応として現れるような生理的なストレスを軽減させる効果があると考えられた。短時間で簡易に実行可能な情動焦点型コーピングのストレッチと閉眼・うつ伏せにより、ストレスの緩和や軽減ができると示唆された。ストレッチは心理面、閉眼・うつ伏せは生理面に効果が見られたことから、コーピングによる作用の違いと場面に合わせたコーピングがあると考えられた。今後は、ストレスの種類と行うコーピングの関係性について追究していくことが課題である。

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