卒業研究

Comparison and Relationship between Telework, Stress and its Usefulness in Employee Support

医療心理科

砂原明日香 利川真輝 和治泰気

要約

本研究は、テレワーク等の非対面形式の働き方が精神障害者の就労移行支援サービスへ有用ではないかと考えた。対面授業とオンライン授業で感じたストレスの影響を、大学生用ストレッサー尺度を用いて4 件法アンケートで検証した。その結果から、対面と非対面におけるストレスの違い及び精神障害者福祉における対面と非対面の就労におけるメリットとデメリットは何かについて考察を行った。

目的

新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、急速にテレワークやオンライン授業などの非対面形式での活動が普及している。しかしながら全ての企業・分野がこの事態に対応出来ている訳ではなく、精神障害者福祉分野もその例に漏れない。山岡(2015)によると精神障害・発達障害・高次脳機能障害のある人達の多くが在宅就業を希望しており、特に精神障害のある人たちは対人関係についてのストレスを感じやすい。そこで、非対面形式でのやり取りが及ぼすストレスなどの影響を調査し、精神障害者の就労移行支援サービスへの有用性を考えていくことを目的とした。

方法

分析対象は大阪医療技術学園専門学校医療心理科に在籍する1 年生と3 年生の計53 名である。対面授業とオンライン授業のストレスの比較検討のため、各学年に2 回ずつアンケート調査を行った。アンケートは全33 問及び4 件法を用いた。対面形式と非対面形式のストレス差については大学生用ストレッサー尺度を用いた質問紙調査を行った。調査期間は10 月2 日~10 月14 日であった。

結果

対面授業とオンライン授業のアンケートをt検定により比較した結果、オンライン授業は対面授業に比べて全体的なストレス値が有意に高値を示した。特に「自分の望まない時間が長くなった」「自分がどう行動してよいかわからない」「自分の技術が上達しない」「異性と接する機会がない」という4 項目に対面とストレスの差が有意に見られた。しかし、対面の方がストレスを感じるという項目もあり「自分の容姿に対して人に何か言われていそう」「人に嫌われていると感じる」「人より劣っていると感じる」「自分だけが取り残されている気がする」という4 項目が有意に高値を示した。
また、同じく大学生用ストレッサー尺度について、高坂(2012)を参考に確認的因子分析を行ったところ、本研究ではオンラインが9 つ、対面では7 つの因子が抽出された。その中でも特に「対人間の評価」「対人スキル」「時間的拘束」「他者への信頼感」の4 つの因子が、対面とオンラインともにストレスとして抽出された。

考察

オンラインの方が全体的なストレス値が高いという結果が出たが、対面場面や人と関りがある際に感じられる特定のストレスは、オンラインの方が有意にストレスが低く負担にならないことが本研究では指摘できる。
ここから、ストレスを感じやすい精神障害者の就労にはテレワークは有用なのではないかと考える。また、就労の前段階である就労移行支援サービスにも、非対面形式であるテレワーク導入が有用である可能性が示唆された。さらに言えば、人からの視線など大勢がいることでストレスを感じやすい一般の方にも、様々な場面でオンライン形態を導入することでストレスの緩和が期待できる。

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