卒業研究
問診情報のWeb化における効果について
~医療秘書におけるDX 推進~
Advantages of collecting information from web-based medical interviews The Impact of Digital Transformation (DX) on the Medical Secretary Profession
医療秘書・情報学科
今徳楓 植村幸人 大賀美奈 千葉侑平 橋本優貴 福田有希 細井星奈 森野稀莉亜 山田由奈

要約
日本ではコロナウイルス流行による感染不安から受診控えが生じ、医療機関への診察数は2020 年度で8.5%減少したといわれている。日本医師会は安心して受診してもらう為、「新型コロナウイルス感染症外来診療ガイド」を作成し、医療機関に「電話や情報通信機器を用いた診療の推進」「人と人との接触を最小限にする」「在院時間の短縮」などを求めている。私達はこれらを踏まえ、コロナ禍において患者の在院時間短縮を目的とし、問診情報のWeb 化について検証を行った。Web 問診はgoogle フォームにて作成し、Web 問診から電子カルテへ情報取込時間を計測し、それに伴う効果を検証した。
目的
現在、コロナ禍における感染対策の一つとして、「在院時間の短縮」が求められている。医療秘書としてこの問題にアプローチできることがないかを調査した結果、Web問診の活用が有効であると考え、Web問診システムの作成から運用までを行い、効果を検証することとした。
方法
- 本校医療秘書・情報学科の学生合計84 名にWeb 問診についてアンケートを実施する。
①紙の問診票とWeb の問診票のどちらが回答しやすいか。②Web 問診を利用したい場面はどのような時であるか。③Web 問診について改善してほしいと感じるところはあるか。 - googleフォームにてWeb問診を作成する。
- 手書きによる問診情報の電子カルテ取り込み時間と、Web 問診における電子カルテへの情報取り込み時間を計測する。
結果
- 「Web のほうが回答しやすい」が50%、「紙のほうが回答しやすい」が33%、「どちらも同じくらい」が17%との回答となった。
- 体調不良で病院に行けない時にWeb 問診とオンライン診療を併用し受診したい、医療がひっ迫している時に利用したいなどの意見があった。
- 画面のスクロールに対する手間や検索機能の追加などがあげられた。
考察
Web 問診を実用することにより一人当たりの診療時間が短縮され、より多くの患者を診ることが可能となる。また在院時間の短縮によって感染予防につながる。さらに従来の紙問診より答えやすく自宅で回答することで丁寧な問診入力が可能となる。本研究の結果から、コロナ禍においてはWeb 問診を活用し、Web 問診ステム作成から情報の取り込みまで医療秘書が行い運用することが有効であることが示唆された。今後の医療秘書の役割として、従来の診療報酬請求や患者接遇のみならず医療DX の推進を担うことが必要であると考える。