卒業研究

Supporter’s involvement in individuals with intellectual disabilities with observed regression

医療心理科

大石ひかる 木上桃香 出口晴彦

要約

知的障害者の加齢変化には退行と呼ばれる特有の現象がある。本研究では退行のみられる知的障害者が入所する施設の世話人に焦点を当て、具体的な関わり方について自由記述方式で回答を求めた。それらをKJ 法を用い、分類を行った結果、関わり方について6 つのグループが抽出された。これらを総合的に分析すると、(1)退行のみられる方が抱える課題や改善点を明確にし、生活の質の向上及び生活機能の低下予防を目指した態度、(2)話し手及び聴き手としてのスキルを意識的に駆使し、関係性の構築と維持を図る態度、の2 点が退行のみられる方へ必要とされる関わり方であると考えられた。

目的

知的障害者の加齢変化には“退行”と呼ばれる特有の現象がある。菅野(2005)によると、退行とは、生涯発達の過程でいったん獲得・到達した日常生活の適応水準が何らかの原因で低下し、獲得前の状態に戻ることである。この現象に対応するため、いくつかの論文で検討や提言はなされているが、それらは施設主体の対策や支援内容に留まっている。そこで本研究では退行のみられる知的障害者が入所するグループホームの世話人に焦点を当て、現段階で取り組んでいる具体的な関わり方や工夫について調査し、実践的な技能の抽出および一個人の援助者として必要とされる関わり方や留意点について検討することとした。

方法

横山ら(2007)のソーシャルワーカーを対象とした高齢者との関わり方についての研究を参考に、調査内容の検討及び質問項目の作成を行った。構成は、退行についての認知度を図る2項目、関わりについては8項目の自由記述方式とした。対象は、退行のみられる知的障害者が生活するA社会福祉法人グループホーム3棟の職員・世話人14名であり、回収率100%、有効回答率92%であった。回答内容はKJ 法(川喜田,1975)を用いてグループ編成及び図解化、並びに総合的な分析を行った。

結果

自由記述から149枚のラベルが抽出され、自由記述から149 枚のラベルが抽出され、それらを分析した結果、抽出されたグループは、①客観的な状態把握と考察・検討、②間接的アプローチ、③直接的アプローチ、④関係性の構築・維持、⑤具体性・確認、⑥尊重、⑦自己研鑽、⑧ポジティブイメージ、⑨ストレス要因となり、①から⑥は関わり方を示すもの、⑦から⑨は援助者側の心理的側面と区分した。

考察

抽出された①から⑥のグループを総合的に分析すると、(1)退行のみられる方が抱える課題や改善点を明確にし、生活の質の向上及び生活機能の低下予防を目指した態度、(2)話し手及び聴き手としてのスキルを意識的に駆使し、関係性の構築と維持を図る態度の2 点が退行のみられる方へ必要とされる関わり方であると考えられた。(1)は、加川(2007)の知的障害者グループホームの世話人を対象とした業務内容の実態調査との比較から、退行のみられる方に即した関わりであると推察される。また、村理(2018)が、グループホームでは,支援者と利用者の対話から生活の幅がうまれると述べているように、退行のみられる方に対する(2)のような関わりや態度は、関係性の維持と構築だけでなく、生活の質にも影響を与えるといえる。よって、(2)は(1)を実現させる態度であるとも考えられた。

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