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卒業研究

Investigation of time reduction of Masson‘s trichrome staining

臨床検査技師科

今西優菜 尾﨑龍之介

要約

マッソン・トリクローム染色は肝硬変や心筋梗塞の診断に用いられる染色法だが、染色時間が長いデメリットがある。これまで媒染剤以外の染色時間の短縮については検討されてきたが、マッソン・トリクローム染色の時間短縮を目指し、今回は染色性を保持したまま、媒染時間をどの程度まで短縮できるか、さらに、加温による時間短縮が可能であるかを検討した。通常媒染時間40分のところを10分まで短縮すると染色性の低下が目立ち、媒染剤を37℃加温、5分で染色したものが最も時間短縮ができ、染色性の良いものと判断した。先行研究では、媒染剤以降の手順で時間短縮を試みたものばかりだったが、本研究により媒染剤自体も時間短縮できることがわかった。

目的

早く診断結果を出すためにマッソン・トリクローム染色の時間短縮を目指し、染色性を保持したまま、媒染時間をどの程度まで短縮できるか、加温による時間短縮が可能であるかを検討した。

染色方法および検討条件

  1. 染色方法
    ①脱パラフィン、脱キシレン ②流水水洗、蒸留水水洗 ③媒染剤:40分 ④水洗:5分 ⑤カラッチのヘマトキシリン:60分 ⑥水洗、温水での色出し:5分 ⑦0.75%オレンジG液:1分 ⑧1%酢酸液:2回ゆすぐ ⑨マッソン染色液B:7分 ⑩1%酢酸液:2回ゆすぐ ⑪2.5%リンタングステン酸:10分 ⑫1%酢酸液:2回ゆすぐ ⑬アニリン青液:7分 ⑭1%酢酸液:2回ゆすぐ ⑮脱水、透徹、封入

    ※今回は媒染剤のみを変更し、その他の工程は全て統一した。

  2. 検討条件
    以下のように媒染剤の条件を設定し、媒染剤の時間短縮と染色性の保持を検討した。
    A)媒染剤の時間のみ変更
    ①40分(比較対照) ②20分 ③10分 ④1分 ⑤媒染剤なし
    B)媒染剤の時間短縮+加温(37℃)
    ①媒染時間5分+加温 ②媒染時間10分+加温

    ※媒染剤の入った染色瓶を孵卵器に入れることで37℃に加温した。

結果

媒染剤40分と20分のものを比較したが、大きな差は見られなかった。媒染剤40分、10分、 1分、媒染剤なしを比較すると、染色時間に比例し染色性が低下した。また、10分以内のものになると、肝細胞間の膠原線維の染色性が明らかに低下した。媒染剤を37℃に加温したものは、通常の40分に比べると全体的な染色性が濃くなり、肝細胞間の膠原線維が確認できた。しかし、加温5分に比べ、加温10分の方が肝細胞の核と細胞質の判別がつけづらくなったため、本研究では媒染剤を37℃加温、5分で染色したものが最も時間短縮ができ、染色性の良いものと判断した。

考察

媒染時間の短縮により染色液の吸着性が低下した。媒染剤を加温することにより化学反応が向上し、時間短縮と染色性の保持が両立できた。媒染剤による時間短縮に加え、それ以降の手順での短縮も含めると、さらに染色時間の短縮が可能になると考える。

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