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卒業研究

Impact of Storage Conditions on Staining Characteristics in HER2 Immunohistochemistry (IHC Method)

臨床検査技師科

入道諒祐 川口絢歌

目的

HER2検査に必要な免疫組織化学染色(IHC法)では、標本作製条件やその後の染色工程における操作が染色程度に影響を与えるとされている。本研究では、標本作製工程における保管条件に焦点を当て、染色性への影響を検証した。

方法

HER2陽性コントロール乳腺組織を4㎛で薄切し、40℃・1時間伸展させた後、以下の温度条件および時間条件で保管した。その後、IHC法を行い、各保管条件の染色性を確認・比較した。

[条件]
  • 温度条件:冷蔵(4℃)、室温(25℃)、高温(60℃)
  • 時間条件:1時間、1日間、3日間、1週間、2週間、3週間
[IHC法の染色手順]
  • 抗原の賦活化(CC1 buffer(pH9.0),95℃,36分)
  • 一次抗体反応(HER2(4B5),36℃,12分)
  • 二次抗体反応(ultraView DAB ユニバーサルキット)
  • 核染色(ヘマトキシリン核染色試薬Ⅱ,4分)

結果

冷蔵保管では染色性への影響は認められず、室温では僅かな染色性の低下が認められた。60℃保管では1週間から明らかな減弱が認められた。特にHER2スコア2+標本では染色性の低下が顕著に認められた。

考察

冷蔵保管では染色性に大きな影響はみられず、室温保管では僅かに染色性が低下したことから、長期保管の場合は冷蔵保管が望ましいと考えられる。
60℃保管では、1週間以上で明らかな染色性の低下が認められ、2+標本では1日間でも低下が認められたことから、高温下での長期保管は染色性に影響を与えると考えた。またHER2スコアが低いほど、影響は顕著に現れた。
60℃・1週間保管の標本では、本来スコア3+を示すものが2+程度の染色性を示したことから、医師の判断にも影響する可能性があると思われた。

以上のことから、長時間高温で未染色標本を保管することは染色性の低下を招くことになると考える。このため、ベーキングなどで高温に標本を置く場合は短時間にとどめる必要がある。

参考文献

  1. 山口大ほか:病理標本の伸展および乾燥条件が染色性に与える影響.検査と技術 2013 vol.41 no.8,698-702,2013
  2. 伊藤仁:免疫染色の染色強度は結果の判定にどのような影響を与えますか?.臨床検査 2012 vol.56 no.11,1262-1263,2012

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