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言語聴覚士になるには? 受験資格や取得までのルート、必要スキルを紹介!
2024.9.18
言語聴覚士は、言語や聴覚に障がいを持つ人々に対し、専門的な訓練やサポートを提供する医療専門職ですさまざまな人たちとの共存が求められる時代のなかで、言語聴覚士を目指す学生が増えています。そこで今回は、言語聴覚士について詳しく紹介します。将来のキャリアプランとして興味のある方には必見の内容です
目次
言語聴覚士になるには?
言語聴覚士として活躍するなら、専門的な知識を身につけなければなりません。言語聴覚士として仕事をする場合、どのような資格や、知識、スキルが求められるのでしょうか。以下では、言語聴覚士になるための方法を紹介します
国家資格を取得する必要がある!
まず、言語聴覚士として活躍するには、国家資格の取得が不可欠です。国家資格がなければ、言語聴覚士として働けないため、資格取得を目指すのがセオリーです
なお、国家資格を取得するには文部科学大臣が指定する学校、もしくは都道府県が指定する養成校を卒業しなければ受験資格が得られません。そのため、国家資格を取得するには養成校や学校といった教育機関に入学するところからスタートします
言語聴覚士になるためのルート
言語聴覚士になるには、複数のルートが存在します。どのルートを選択するかは、自分自身が置かれている環境によって異なります。ここでは、言語聴覚士になるためのルートを3つ紹介します
【ルート1】高校卒業後、3~4年制の養成学校へ進学
高校卒業後に養成学校(3〜4年制)に進学するルートが、言語聴覚士になるには一般的な選択肢です。養成学校には、以下の種類に分類されます。
- ●文部科学大臣指定の4年制の大学もしくは3年制の短大に通う
- ●都道府県が指定する3〜4年制の専門学校に通う
大学では言語聴覚士に専門分野以外にも一般教養の学びが必要となり、多くの学びを得たい人には大学進学がおすすめです専門学校は専門分野の学びに特化しており短期間で目指す分野の学びを集中して学びたい人におすすめです
以上を踏まえ、多くの学びをしっかりと習得したい人は4年制、専門分野を集中して学び学費や学習期間をコンパクトにしたい人は3年制を選ぶとよいでしょう
【ルート2】4年制大学卒業後、2年制の養成校へ進学
言語聴覚士になるには4年制大学を卒業後、2年制の養成校へ進学する道も選択肢のひとつです。大学で得た知識や経験を活かし、さらに専門的な学びを深めるには効果的な手段です。
2年制の養成校に進学する場合、以下の2つのルートにわけられます。
- ●指定の大学または大学の専攻科(2年制)を選ぶ
- ●2年制の専修学校を選ぶ
入試の内容は学校により異なるため、自分の進学先はどのようなテストを設けているのかを確認する必要があります
【ルート3】一定科目を履修後、1年間指定の養成校へ進学
言語聴覚士になるには、一定の科目を履修したうえで1年間の指定養成校に通うルートもあります。このルートは大学や短大を卒業した人、または卒業見込みの人が対象です。特定の教育内容を持つ専門学校(3年制)を卒業、卒業見込みの人も該当します。
具体的には、以下に記載する専門学校の卒業生が対象です。
▶看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、救命救急士 |
防衛医科大学校や職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発総合大学校の卒業生も対象です。なお、出願の際は上記学校の卒業証明書を提出し、審査を受ける必要があります
言語聴覚士の国家試験の合格率
言語聴覚士の国家試験の合格率は年度により異なりますが、およそ70%前後で推移しています。受験者数と合格率は、以下の一覧表をご覧ください。
試験年数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2022年 | 2,593人 | 1,945人 | 75.0% |
2023年 | 2,515人 | 1,696人 | 67.4% |
2024年 | 2,431人 | 1,761人 | 72.4% |
2022年の合格率は75.0%、2023年は67.4%、2024年は72.4%と合格率自体は60%を超えています。しかし、試験は決して簡単ではなく、専門的知識を身に付けた上で問題文を読み解き、判断する力が求められます。本試験は全国の都道府県(北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県)で実施され、受験者は出題される200問のうち120問以上の正解を得なければ合格できません
言語聴覚士の養成校で学ぶ内容
言語聴覚士の養成校では、専門的な知識とスキルを習得するために数多くのカリキュラムが組まれています。多岐にわたる授業内容により、学生は実践的な技術と理論的な知識をバランスよく学べます以下では、養成校でどのような内容を学習するのかを紹介します
座学
言語聴覚士の養成校では、座学で基礎から専門的な知識を習得します。座学といっても3つの分野にわかれており、それぞれが実習や臨床での応用力を養う重要な位置づけを担っています
- ●基礎分野
一般的な教養科目をとおして、幅広い知識の習得を目的としています。科学的思考の基盤・人間と生活・社会の理解・言語聴覚療法の基盤人などが学習範囲です。多角的な学びによって、学生はさまざまな視点から物事を考える力が養えます。
- ●専門基礎分野
専門基礎分野では、人体のしくみや疾病と治療について学びます。さらに、心理学や言語学、音声学、社会福祉などもカリキュラムに含まれています。これにより、言語や聴覚の障がいの発生の仕組みや、それぞれの障がいに対してどのように対応すべきかを理解する基盤を築きます。
- ●専門分野
専門分野では、言語聴覚の障がいについて学びます。発生発語の障がいや失語症、言語発達障がい、摂食・嚥下障がい、聴覚障がいに関する症状や原因、治療法などが学習対象です。このように、基礎分野、専門基礎分野、専門分野の学びを介して、学生は理論的な知識と実践的なスキルをバランスよく身につけられます。
実習
言語聴覚士の養成校では、座学で得た知識を実際の現場で応用するための実習がおこなわれます。実習は学生が患者と接し、臨床での経験を積む重要なステップです
- ●見学実習
病院やクリニックといった医療機関や福祉施設に行きし、現場で働いている言語聴覚士の仕事を見学します。また、実際に患者さまやお子様との接し方も学びます。現場でのリアルを目の当たりにできる点と、現役の言語聴覚士の声が聞けるのは見学実習の大きなメリットです。
- ●評価実習
見学実習後に実施するのが評価実習で、実際に言語聴覚療法の検査を実施し、評価実習後は、検査結果の分析や訓練プログラムの作成を行います。評価実習は4~5週間程度の実施期間が一般的です。
- ●総合実習
実習のまとめ的な位置づけです。専門知識の確認、言語聴覚療法の評価、結果分析、訓練の実施など、多岐にわたる経験を通して学びを深めます。総合実習の期間は、1か月半~2か月とロングスパンな点も特徴のひとつです。
2年制と3年制の養成校との違いは?
2年制専門学校は大学卒業者が対象、3年制や4年制の専門学校は高校卒や短大卒の方が対象です。そのため、すでに大学を卒業されている方や卒業見込みの方は2年制、高校卒業後に最短で言語聴覚士を目指したい方は3年制または4年制専門学校に進むのが一般的です。
言語聴覚士の国家試験を受験するには、国家試験指定科目の必要単位数(93単位)を取得しなければなりません。座学、実習ともに必要単位数は決められており、2年課程、3年課程、4年課程でも変わりありませんので、国家試験を受験するための科目履修はいずれの課程でも同じと言えます。そのため、修業期間が短いほど学習期間はタイトになります
専門学校と大学との違いは?
高校卒や短大卒の方が言語聴覚士を目指す際、専門学校と大学のどちらの養成校に進学するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。どちらを選ぶかによって、教育カリキュラムや与えられる称号が異なります。以下で専門学校と大学の養成校における違いを詳しく解説します
専門学校の特徴
専門学校は、言語聴覚士になるために必要な知識とスキルを集中して学べます。以下に専門学校の主な特徴を紹介します。
- ●専門的な知識を集中して学べる
先ほども述べたとおり、国家試験指定科目の必要単位数は専門学校も大学も同じです。両者の大きな違いは、専門学校では大学に比べて一般教養科目が少ないことです。そのため、取得単位数が少なく効率よく学べ、専門分野に集中しやすいというメリットがあります。
- ●専門学校なら大学よりも学費を抑え、短期間で受験資格が得られる
専門学校なら、短い期間で国家試験の受験資格が得られる点も大学との大きな違いです。学費や学習期間をコンパクトにしたい人や、言語聴覚士として早く活躍したい人には、短期間で集中して学べることは大きな魅力と言えます
- ●専門士の称号
専門学校では大学卒業という学歴は得られない代わりに「専門士」の称号が与えられ、大学への編入資格が得られます。
▹▹ 3年で言語聴覚士になるための専門学校についてはこちら ◃◃
▹▹ 2年で言語聴覚士になるための専門学校についてはこちら ◃◃
大学の特徴
大学は、さまざまな知識が学べる総合的な教育機関です。ここでは大学の主な特徴を解説します。
- ●言語聴覚士以外の知識も学べる
大学では一般教養科目や選択科目があり、多岐にわたる知識を習得できます。例をあげると、社会学や経済学などの知識も学べる点は専門学校にはない魅力です。
- ●言語聴覚士以外の道に変更しやすい
大学は多様な学科やコースを提供しているため、途中で言語聴覚士以外の就職先も検討しやすく、進路の柔軟性が高い点は大学を選ぶメリットと言えるでしょう。
- ●大学を卒業したという学歴が手に入る
専門学校とのもっとも大きな違いは「大学卒業」の学歴が得られる点です。そのため、例えば卒業後に大学院に行くといった選択肢が広がります!
言語聴覚士になるために必要なスキル
言語聴覚士として活躍するには専門知識だけでなく、さまざまなスキルが求められます。ここで紹介するスキルは、患者とのコミュニケーションや効果的な治療に不可欠なものばかりです。
コミュニケーションスキル
患者との良好な関係を築くには、お互いの信頼関係が何よりも大切です。患者がリラックスして話せるような雰囲気づくりはもちろん、患者の言葉をしっかりと聞き取り、適切なフィードバックを提供することも重要です。
また、言葉だけではなくジェスチャーやアイコンタクトなどの非言語的手段を活用することで、患者とのコミュニケーションも円滑になります。このように、患者と関係性を深めるコミュニケーションスキルは言語聴覚士には必須といえるでしょう
観察力・想像力
患者の微細な変化や反応を見逃さない「観察力」を持っていれば、より適切な治療法の提案が可能です。患者がどのような場面で言葉に詰まるのか、どのような環境で言語能力が向上するのかの観察が求められます。また、想像力を働かせて、患者の気持ちや状態を理解し、患者に最適な治療プランの立案も言語聴覚士には必要です
忍耐力・粘り強さ
言語聴覚士には、忍耐力と粘り強さも必要なスキルです。なぜなら、治療には時間がかかり、すぐに改善しないことも多いためです。一例として、言語発達障がいの子どもが言葉を覚えるのには長い時間がかかることがあります。また、成人患者が事故や病気で失った言語能力を回復するには、何度も繰り返し練習する必要があります。
このような状況でも言語聴覚士は諦めずに粘り強くサポートを続けることで、患者の改善につながる可能性が高まります。以上の点から忍耐力と粘り強さは、患者との信頼関係を築くだけでなく、治療の成功に導くためには不可欠なスキルです
判断力や見極める力
言語聴覚士には、判断力や見極める力も重要です。患者の状態や反応を的確に把握し、最適な治療法を選択するためです。具体例として、患者Aさんが特定の音を聞き取れない場合は、その原因が聴覚の問題なのか、言語処理の問題なのかを見極める必要があります。
また、治療中に患者の反応を観察し、必要に応じて治療方法を柔軟に変更するケースもあるでしょう。このように、判断力や見極める力は患者の状態に応じた適切な対応をおこなう上で欠かせないスキルといえます
まとめ
今回は、現代社会では欠かせない職業といえる言語聴覚士について詳しく解説しました。記事内では、言語聴覚士になるための道のりや必要なスキルにも触れています。また、2年制と3年制の養成校の違いや専門学校、大学におけるそれぞれのメリットも説明しました。現在、言語聴覚士を目指している方は、今回の情報を参考に自分自身に最適な環境を選びましょう
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